D&I推進宣言

21世紀を生きる私たちが世界と地域の持続可能な発展に寄与するために、北海道大学は多様な人々との共存と共生を基盤とした「北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を公表し、無意識の差別や偏見を乗り越えたバイアスフリーキャンパスの実現に向けて邁進します。

北海道大学 ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言

2015年、国連サミットで「誰一人取り残されない」ことをスローガンに「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」が採択され、世界の課題解決に向けて国際社会が結束して乗り越えることが必須であることが広く認識されました。その背景には、社会課題の多くが、多様な国や地域、人々の間で相互に複雑に連関し交差していることにあります。

北海道大学は、SDGs採択に先立ち、2014年に創基150年に向けた近未来戦略150を策定し、「世界の課題解決に貢献する北海道大学へ」を新たな使命としました。そこには、総合大学としての強みを有機的に結合した「個性を持った総合力」を発揮し、「知の創成・伝承・実証の拠点」としての役割を担う大学の姿があります。すなわち、多様性を尊重しながら一体感を醸成する過程を通じて社会的責任を果たし、多様性社会を実現するために新しい価値を共に創り上げていく場としての大学です。これを実現するためには、多様な価値観や経験、意見が集い、自由で公正かつ公平な議論に基づいた「多様性にひらかれた教育・研究環境」が不可欠です。

そのためには、すべての大学構成員ひとりひとりが、他者への理解を深め、自らの無意識の差別や偏見に気づき、多様性を受容し包摂する豊かな人間性と高い知性を育み、各々の能力を最大限に発揮することが大切です。そのうえで、その時々の課題を引き受け、学問の自由と自らの問題意識に基づき、多様な人々と共に新たな知を創造すること、およびそのような人材を育成することは、大学の基盤をなす根本的使命でもあります。

さらに、知の創造から知の実装に向けて、社会との連携を深め、様々なステークホルダーと共に協働していくことも、本学が目指す「実学の重視」を体現した姿のひとつであり、かつ大学に期待される社会的役割でもあります。その中で、誰一人取り残さない持続可能な世界の実現に貢献するためには、人権を擁護し、多様性を尊重する人々、組織、団体と協調していくことが必要です。

以上より北海道大学は、誰一人取り残さず、人種、国籍、肌の色、言語、民族、出自、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、ライフイベント、年齢、障害、外見・容姿、ライフスタイル、その他いっさいの個人の事由に関わらず、すべての構成員の尊厳が守られ、ひとりひとりが誇りを持ち、互いを尊重する大学環境を目指します。また、すべての構成員がその能力を最大限に発揮して自らの可能性に挑戦できることを目指して、さらなる意識改革および環境整備を進めます。これらの新たな理念と使命を掲げ、多様性を尊重し共生を実践することを決意し、「北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進」を宣言します。

令和3年12月1日
北海道大学総長